今日は、僕が赤ちゃんの頃から海でお世話になっている竹内信さんとお話ししました。
博識で、様々なテーマについて議論できる、師のひとりです。
◎「調べる」ということ
この情報化社会において、調べものと言えば真っ先にインターネットを使う人は多いでしょう。
しかし竹内さんは、ここに問題点があるとおっしゃいました。
インターネットがなかった時代は、何か知りたいことが出てきた時、まず百科事典を開いて探してみる。
それでもわからなければ、図書館へ行って本をいくつもあたってみたり、人に聞いてみたり、時には博物館へ行くこともある。
答えに辿り着くまでに、何度も思考をめぐらし、身体で体験をし、情報を自分なりに整理するという過程を経ることになる。
一方、インターネットで調べる場合、キーワードを入力して「検索」ボタンを押すだけ。
一瞬で「答え」が出てくる。
便利な分、調べる過程が無いから内容が頭に入らない。
何かを調べるということを、その一時のことと捉えてしまうのはもったいないですね。
「答え」をすぐに忘れて、その度に同じように検索しているようでは、何の進歩もありません。
経験豊かな方は大抵物知りであることが多いものです。
しかし、竹内さんのお話から、知識は経験の多さからのみ存在するものではないのだと感じました。
◎本は思いやりのかたち
竹内さんは、本についてこのようなこともおっしゃいました。
本は本来「人をつくる」もの。
人を育てるような本を書くことは、ひとつの「思いやり」のかたちである。
「思いやり」の表現方法には様々なものがあります。
時間的にも、行動的にも、場合によって内容は異なります。
目の前の困っている人を助けるという行為は、即時的でわかりやすい思いやりです。
竹内さんは、すぐに目に見えるものではないが、本に思いやりをもたせることが可能だと語られます。
「あの本に出逢って人生観が変わった」という話はよく聞きます。
その本の著者は、時間・空間を越えて思いやりを表したことになるのですね。
そう考えると、作家さんとは何とロマンのあるお仕事なのでしょう!
◎選択と意思表示
やるか、やらないか。
生きていくうえで選択肢はこのどちらかしかない。
誰かに誘われた時に、「う~ん…」と曖昧にしたならば、その話はもうナシ。
決められないなら、「決断するのに時間を下さい」とその場で言おう。
右か左、どちらへ進もうか迷った時には、より難しい道のりを選ぶと良い。
楽な方へ進んで成功した人はいない。
今日いただいたこのアドバイスを、僕は常に心に留めておきたいです。
人との関わりの中で生活し、仕事をしている僕にとって、選択とその意思表示は、どちらも根本的に大切なものです。
今のところはありませんが、この先、年齢や立場の違いによってハッキリと意思表示をすることに抵抗を感じる場面があるかもしれません。
そんなときには、まず声をかけて下さっていることに感謝をし、その心に正面から向き合うことが礼儀であると考えるようにします。
まだまだ書きたいこと、話し足りないことはありますが、1日は有限ですので、今日はこのあたりで。
と、最後にもうひとつだけ。
竹内さんは、僕がプロデュースしたCD「DEEPEST」を既に100回ぐらい聴いて下さっているとのこと!
その理由を尋ねたら、とても嬉しい返答をいただきました。
「DEEPEST」は、聴いている側が音を入れたくなるCD。
つまり、余計な音、余計なアレンジが入っていない。
だから、何度も聴きたくなって、聴く度に新鮮な発見がある。
このお褒めの言葉は、当然僕ではなく、曲をつくって下さったミュージシャンの方々へのものです。
でも、僕がとても嬉しい!!
鈴木香里武