今日は、我が「親友」でもある、現代音楽の作曲家・ピアニストの徳山美奈子さんとお話ししました。
徳山さんは、ドイツで音楽を学ばれ、日本では浜松国際ピアノコンクールの課題曲「ムジカ・ナラ」を作曲されるなど、国内外で活躍されています。
また、昨年僕がプロデュースした沼津港深海水族館の館内音楽企画では、「深海の巨大ダンゴムシ」ことダイオウグソクムシのためだけに、「深海に眠れ」というカ強くも優しい曲を作って下さいました。
(http://karibu-collabo.main.jp/top/?p=228)
徳山さんとお話しする度に、僕は知的好奇心が激しく刺激されます。
ドイツで勉強をされていた徳山さんは、今日2つの素敵なドイツ語表現を教えて下さいました。
1つは、「ビタミンB」。Bは「Bekannte(ベカンテ)」という言葉の頭文字で、「人脈」という意味だそうです。
つまり、人脈は生きていくうえで欠かせないエネルギーになるということを言っています。
一期一会重視の来夢教育を提唱する僕としては、激しく同意します。
ちなみに、徳山さんは日本語バージョンということで、「ビタミンP(People)」と言い換えていらっしゃいます。理由は、ビタミンBはサプリメントとして知られているからだとのこと。徳山さんのこういうところが好きです。
もう1つは、「Selbstbewußt(ゼルブストベヴスト)」。自分としての個をきちんと確立しているという意味の言葉です。心理学で言う「アイデンティティ」に関係していますね。
この言葉は、ドイツでは、主に成人前の子どもにとって最高の褒め言葉だそうです。
徳山さんは、ご自身の留学時の実体験を交えて語って下さいましたが、日本人はSelbstbewußtが大きく欠けているようです。
ヨーロッパの人々は、自分について理解すること、それを誇りに社会と関わっていくことを重視しているのですね。
この考えとも関係しているのでしょうが、徳山さんはこのようなこともおっしゃっていました。
「今の日本の教育に足りないのは“教師力”である。
教師になった後で、本来やりたかったことを見失ってしまう。
そうさせる社会の問題でもある。」
さらに来夢教育の本質に近づいて参りました!
教師になりたい人間の“人間力”を高めることが必要だと強調されていました。
また、徳山さんは“語学留学”について疑問をお持ちのようです。
語学は、学びたいことを学ぶためのツールであって、とくに学びたいことも無いのに語学という名目で留学するのは本来の方向性とは違う。
日本語の能力をきちんと身につけてもいないのに、外国語ばかりに目を向けている近年の傾向について、「そんなことでは自分の意見を伝えることなんてできない」と強い考えを語って下さいました。
僕もそう思います。母国語でさえ、自分の意見を伝えるのは難しいのですから。日本人は、まずは正しい日本語を学ぶべきですね。
まだまだありますよ!
先日、沼津港深海水族館へ行ったとき、音量を上げてもいないのに「深海に眠れ」の存在感が増していると感じたことを思い出し、お伝えしました。
すると、「曲は育っていくものだ」という名言が返ってきました。
楽譜上で完成した時には、まだその曲はお腹の中にいる状態。
それが、歌い手や演奏家が誕生の場に立ち会い、さらに聴く人がいて、曲は作者の手を離れて独り歩きを始める。
曲は、それ自体が魂をもっているため、まわりのエネルギーを吸収してどんどん育っていくのだそうです。
逆に、魂をもっていない曲は、いつまでたっても育たないとのこと。
クラッシック界では、長年お蔵入りになっていた曲が発見後に急成長するということがありますが、この話を聞くと納得がいきます。
そしてもうひとつ。
今日お会いした一番の理由でもあるのですが、徳山さんは今年、奈良で行われる生駒国際現代音楽祭のための曲を作曲されます。
「奈良から被災地に届ける音」ということで、オーケストラの演奏と160人の子どもたちの「声」での表現になります。
音によるエネルギーの流動を表現することが得意だと語る徳山さん。理屈ではないところに響く「心のエネルギー」を表現したいのだそうです。
その曲のテーマに、なんと僕が小学2年生の時に書いたある日の日記「生きてるって何だろう」を使って下さるとのこと!
光栄なことです!13年経った今、このようなかたちであの文章が蘇ることを、大変嬉しく思います。
参考までに、その文章の原本を載せておきます。
徳山さん、今日もたくさんのロマンをありがとうございました。
これからも末長く「親友」でいて下さい!
一期一会ものがたり vol.2
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